若者もロコモティブシンドロームに注意!健康維持のために今から大切なこと
■ロコモとは
ロコモティブシンドロームという言葉…最近耳にした方も多いのではないでしょうか。厚生労働省の発表によりますと、「ロコモティブシンドロームとは運動器症候群、略してロコモといい、運動器(筋肉や骨、椎間板など)の障害によって、移動機能(体を動かす機能)が低下した状態の事を指し危険性の高い状態を指す。」とされています。
介護…?なぁんだ、私には遠い話だ…なんて思っている若い方、決してあなたに縁遠いお話ではないのです。
ロコモ状態が進行すると、将来的に介護が必要となってきます。そして、このロコモ、高齢者にとってだけでなく、若者にとっても大きな問題となってきているのです。今回は、運動器の中でも、「骨」にスポットをあててお話ししてみたいと思います。
日本人の平均寿命は世界でもトップクラスではありますが、こと健康寿命(体に健康上の問題なく、生活を送る事の出来る期間の事)になると、平均寿命とはなんと13年の差があります。
つまり、日本人の平均では、身体に不調を抱えた状態で13年間も!生活する事になります。足の関節が痛い、腰が痛い、腕が上がらない、またもっと深刻な不調等…せっかくなら、誰しもいつまでも元気でいたいですよね。
そんなの先の話だし、今はどうだっていいや…なんて思っていたら大間違いで、そう先の話ではなく体に思わぬ不調を招く事もありますし、むしろ若いうちから、そうならないための生活習慣をつける事がいかに大切なのかという事を認識する必要があります。
あなたがもし若者であったとしても実は運動機能がすでに低下しているかもしれません。簡単に出来るテストを紹介します。(出典:https://locomo-joa.jp/check/test/ )
ロコモティブ症候群になる要因
骨・関節・筋肉の機能は40代から衰えるといわれており、筋力やバランス能力の低下で移動機能が低下した状態が危険信号となります。加齢で全身の筋力は低下していきますが、運動不足の状態が続けばロコモティブ症候群になり、さらには寝たきりになる可能性があります。さらに生活習慣という面で考えれば糖尿病なども同じようにリスクがあるのですが、食生活におけるバランスと内容にも関係があります。不摂生な生活を続けて体重が多く筋力が少ない状態ですと関節などに大きな負担がかかるからです。
特に女性が注意をしなければならないのが加齢で女性ホルモンの分泌が減って骨が弱り始めたり、さらに体を支える筋力が衰えたり、膝の関節がすり減るなどの症状は注意が必要です。女性の場合は「骨粗鬆症」が原因のロコモティブ症候群が多いのです。骨の成分はカルシウムやミネラルで骨密度として表れますが、骨の強度が衰えればそれを支える筋肉に負担がかかり、足の痛みによる歩行困難まで悪化するでしょう。
特に以下の3つの病気はロコモティブ症候群につながる要因と考えられています。ロコモティブ症候群にならない為にまずこれらの病気の疑いがないかチェックしてみましょう。
a.骨粗鬆症
骨粗鬆症について解説します。患者の80%以上が女性です。骨密度は女性の場合18歳くらいでピークに達し50歳前後から低下します。
女性がホルモンバランスを崩したり、腸のカルシウムの吸収が悪くなり、またビタミンDをつくる働きが弱くなりカルシウムの吸収が阻害される、などの要因で発症する病気です。
骨がもろくなっているので、ちょっとした転倒などでも骨折してしまいます。高齢者の骨折は治療する時間もかかりますので注意が必要です。
進行を食い止める治療薬として 女性ホルモン製剤、カルシウム製剤、活性型ビタミンD3製剤、などがあります。これらの薬で骨密度の高い骨に回復させます。
骨粗しょう症とは、骨がスカスカになり、骨折しやすい状態になる事です。骨粗しょう症になると、ちょっとした衝撃などで骨折してしまいます。また、高齢者の場合では、いわゆる「いつのまにか骨折」と言われる背骨の「圧迫骨折」にもなりやすくなってしまいます。よく、背中が曲がってしまった高齢者の方をみかけますが、圧迫骨折によるもので、中には痛みを感じずに、いつのまにか少しずつ背中が曲がってしまう、というケースもあるようです。
そして、実は近年、若者でも骨粗しょう症になる方が増えているという事です。その原因は成長期における、過度の食事制限などのダイエット、または偏食による栄養不足などが挙げられます。若いうちから骨密度が低いままの人は、骨粗しょう症となる確率が高いと思われますので、生活習慣を今一度見直す必要があるでしょう。
また、女性の場合、閉経後の50才前後、性ホルモンが減少する事により、急激に骨量が低下すると言われています。これは、性ホルモンが骨の形成に大きく関わっている事が原因なのですが、そのため男性に比べ女性の方が骨粗しょう症になりやすいと言われています。
そうならないためにも、若いうちに出来るだけ骨量が高い状態を維持し、50才以降の骨量低下を食い止めるようにしましょう。
b.変形性膝関節症
変形性膝関節症は膝関節の軟骨がすり減ることで、膝の曲げ伸ばし立ち上がり、歩行時に膝にかかる負担が増加し軟骨と半月板が変形しその刺激により関節炎を起こします。
正座ができない膝がまっすぐに伸びないなど関節の可動域制限も発生します。また関節に水が貯まることがあります(関節水腫)治療方法としては、杖・サポーターを使い関節を矯正したり、炎症が強く痛みが強い場合はヒアルロン酸注射やステロイド注射で対応できます。
これらで改善しない場合は、関節鏡視下手術で小さいカメラを入れて半月板、軟骨、骨棘などを切除する手術や、人工関節置換術もあります。O脚変形を修正する高位脛骨骨切り術など。
c.脊柱管狭窄症
加齢で脊柱管は狭くなっていきますので、背骨が加齢に伴う変化が加わると脊柱管の狭窄が起こります。神経を守る役割の脊柱管が、椎間板の変形により膨隆、突出、神経に伴走する血管が圧迫されることで、神経が障害を起こし、症状として腰痛や下肢のしびれを引き起こすのです。
普段は痛くないが階段を下りる時や歩く時に足にしびれや痛みがあるのが特徴です。足の痛みの箇所も太もも、ふくらはぎ、足の裏、両側または片側だけに出る場合、足の痛みだけで腰痛がない場合もあります。
以上激しい痛みを伴わない場合でも足腰に違和感が6週間以上続くようであれば病院で検査をしてください。
立ち上がりテスト
1.高さ40センチの椅子に両腕を組んで座る
2.ひざの角度は70度程度にする
3.どちらか片足だけで、反動をつけずにそのままの姿勢で立ちあがり、3秒間保持します。
さて、できましたか?もし、どちらかの足で立ち上がる事ができなかったあなたは、筋力などの低下がすでに始まっている、「ロコモ度1」という状態です。
2ステップテスト
1.両足のつま先を揃えて立ちます。
2.可能なかぎり大股で2歩歩いて足を揃えて止まります。(バランスを崩した場合は失敗)
3.2歩分の歩幅を測ります。(2回テストして良い方を選びます)
4.下記の計算式で2ステップ値を出します。
2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値
つまり、2歩幅が240センチで身長が165センチの場合、240÷165=1.45で、2ステップ値は、「1.45」となります。この2ステップ値が、1.3未満の場合は、「ロコモ度1」1.1未満の場合は、「ロコモ度2」となります。
「ロコモ度1」は、上記のとおり、移動機能の低下が始まっている状態、また「ロコモ度2」は、移動機能の低下がすでにある程度進行している状態で、自立した生活が出来なくなる危険度が高いと言えます。
それでは、どのような事に気をつければ、ロコモを防ぐ事が出来るのでしょうか。大きくわけて運動と食事の二つの対策が必要です。
運動
1.ウォーキングを心がける(普段駅まで自転車で行くなら、歩いてみるなど)
2.エレベーターをなるべく使わず、階段を使うようにする
3.家事をこまめにして運動不足を補う
4.ストレッチや無理の無い程度のスクワットをする
などなど、普段の生活の中で運動を取り入れると、簡単ですね。
食事
バランスのとれた、しっかりとした食生活は、メタボ対策にもつながりますし、もちろんロコモ対策にもなります。どのようなものを食べればよいのかを栄養学的に考えるのがベストですが、なかなか難しい方は、単純に「バランス良く」「腹8分目」をこころがけると良いでしょう。
バランス良く、とは、主食(ごはんやパンの炭水化物)、主菜(メインのおかず:肉類、魚類、卵など)、副菜(野菜、海藻類など)、を偏る事なく摂るように心がけると良いでしょう。
そう考えると、ロコモ対策は格別難しい事はないのですが、習慣づける、という事が将来の健康につながるわけですから、是非とも意識するようにして下さいね。
■将来後悔しないために、明日からはじめるロコモ対策とは!
◆若者の骨が危ない!
みなさん骨と言えばまず「カルシウム」が大事、と思い浮かべるのではないでしょうか。もちろんカルシウムも大事なのですが、それだけでは充分とは言えません。
骨を強くするには、骨の主成分となる「カルシウム」、そして、そのカルシウムの吸収を促すための「ビタミンD」、そして骨の形成を促進する「ビタミンK」、
この3つの栄養素が重要なのです。これら3つの栄養素を充分に摂る事が必要なのですが、中でもビタミンDは、骨だけでなく、筋肉にとっても、その他免疫細胞の機能を調節するために必要であるなど、体に欠かせない大切な栄養素であるという事がわかってきました。
ところがこのビタミンD、なんと日本人の半数が欠乏状態にあるというのです。
◆ビタミンDが欠乏している理由と対策
なぜビタミンDが欠乏しているのでしょうか。とくに若い女性に欠乏しているというのですが、その理由とはズバリ、日光に当たらない…つまり日焼け対策をして日光を浴びないという生活習慣が深刻なビタミンD不足の原因となっているというのです。
出典:http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170607/index.html
このビタミンD不足、世界的にも問題となっており、特に日照時間の短い北欧諸国においては、日光浴不足を補うため、ビタミンDサプリを摂る事が積極的に勧められているという事です。これまで紫外線は皮膚に悪いという常識でしたが、紫外線を浴びる事によって皮膚でビタミンDがつくられるのです。
シミや日焼け対策のために、紫外線を出来るだけ浴びないような生活を送っていると、ビタミンDが欠乏し、カルシウムの吸収が阻害され、骨が弱くなってしまいます。
そうして、そういう生活を長期にわたって続けていると、結果的に骨粗しょう症になりやすくなるのです。さて、それでは、一日のうちどのくらいの時間、日光を浴びれば良いのでしょうか。
ギラギラ太陽が照りつける真夏であれば、10~15分、日差しの弱い冬であれば30~1時間程度で良いという事です。もちろん、日光浴の後に皮膚が真っ赤になってしまう程浴びる事は皮膚ガンのリスクを高めてしまうので、注意しましょう。
◆日光浴以外にビタミンDやビタミンKを摂る方法
日光浴がどうしても苦手、という方は(もちろん、上記のように長時間というわけではありませんので、日光浴をするに越した事はありませんが、事情があってどうしても出来ない事が多い、というような方は)食事から摂るようにしましょう。
ビタミンDが含まれる食品としては、サンマ、鮭、きくらげ、しいたけなどがあります。とは言うものの、毎日サンマや鮭を食べる事が出来るわけではないので、2次的にはサプリなどで摂取するのもよいですが、やはりあくまでも毎日の食事から摂る方が好ましいでしょう。
また、骨の形成に良いビタミンKを含む食品としては、ほうれん草や小松菜、または納豆などの発酵食品が良いとされています。ですので、普段から、乳製品・小魚などのカルシウムと共に、日光浴や、上記ビタミンD、ビタミンKを含む食品を摂る事を心がけていけば、骨にとって良い生活習慣だと言えるでしょう。
対策と予防
まずロコモティブ症候群に限らず自分が十分に健康な生活をしているのか、行政の健康プログラムで日々の生活を照らし合わせながら健康の基準というものを理解していただきたいです。
厚生労働省が推奨する「スマート・ライフ・プロジェクト」では「運動」「食生活」「禁煙」の3つを軸に健康寿命を伸ばしていく取り組みをしています。
具体的には毎日10分の運動、1日プラス70gの野菜、65才以上は1日40分の運動などのキャッチコピーを掲げています。
さらに2014年には「健診・検診の受診」をアクションプランとして掲げています。スマート・ライフ・プロジェクトは個人でメンバーに無料登録することが可能で、スマート・ライフ度をチェックすることができますし、WEBラーニングツールで学ぶことが出来ます。
スマート・ライフ・プロジェクト
http://www.smartlife.go.jp/
ロコモティブ症候群に関しましても、まず自分の体の筋力の衰えを常にチェックすることが大切です。痛みなどの症状が出るということは既に病気が進行している状態であり、その何らかの予兆はあったはずです。
その段階で注意して予防対策をしていれば病気の進行を未然に防ぐことができます。
さらに日々の生活の中でもその微妙な症状や反応で、ロコモティブ症候群の可能性を予測できます。ロコモチャレンジの「ロコチェック」https://locomo-joa.jp/check/lococheck/をしてみましょう。
□片脚立ちで靴下が履けない
□家の中でつまずいたり滑ったりする
□階段を登るのに手すりが必要である
□掃除機や布団の上げ下ろしなど、やや重い作業が困難
□2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難
□15分ぐらい続けて歩くことができない
□横断歩道を青信号で渡りきれない
食生活の改善と筋力トレーニング
メタボは動脈硬化を進行させますし心疾患や糖尿病の危険があります。また体重が増えると膝に負担がかかるわけですから、ロコモティブ症候群の原因にもなります。
無理なダイエットなどは骨や筋肉量を減少させますので、若い女性のダイエットや高齢者の栄養不足には十分注意が必要となります。
ロコモに限らず「5大栄養素」炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを考えた栄養バランスとサプリに頼らずに食物からしっかり栄養を摂っていきましょう。
また高齢者はタンパク質不足で炭水化物の量が多くなりがちですので、筋肉形成と疲労に効果のあるタンパク質は十分にとるべきでしょう。
ちなみにロコモ対策のスーパー食材は「レバー」です。それから規則的な生活も大切です。食事の時間がバラバラですとカロリー調整も難しくなりますし栄養過多にもなります。
高齢者の場合は総じて食が細くなりがちですが、おやつの間食などで補完することも大切です。
ロコモティブ症候群には運動療法が効果があります。トレーニングに関しては足の痛みが伴わないうちはウォーキングをおすすめしますが、最近坂道の近くに住んでいる人は糖尿病にかかりにくいというデータもある通り、普通に歩くよりも膝を曲げて筋肉に負荷をかける運動が効果があるといわれています。
具体例では、踏み台昇降運動、スクワット、自転車に乗る、坂を歩く、階段を登る、山を登る、軽いジョギング、リアカーを引く、などの膝を曲げる運動です。
これらは1回数分でも効果はありますし有酸素運動にこだわらなくても筋肉は十分に鍛えられます。筋肉が強くなると骨への負担を和らげるので、痛みがあったとしても痛みが軽減する効果はあると思います。
既に痛みがあり歩くことが苦痛の方は足上げ運動など膝関節周囲の筋肉ストレッチから始めてみて下さい。毎日少しでも継続することが大切です。
ただこれらの運動は一応医者などでメディカルチェックした上で相談して行ってください。ロコモティブ症候群は段階を経て悪化します。
骨密度の低下や骨質の劣化は40代の半ばくらいから始まります。頭では若いと思っていても体がいつの間にかピークを超えて衰退しているのです。ある日いきなり立ち上がれなくなるとか、膝が痛くなるといった症状は誰にでも起こりうるわけですから、こういったロコモティブ症候群に関する知識を事前に持っておくことは大事だと思います。
年をとると基礎代謝のカロリー消費も循環が悪くなっていきますので肥満になりやすいですし、そうなると体を動かすにも億劫になりがちですよね。ですから毎日少しでも自分にあったトレーニング方法を見つけてください。
それを1回数分で構いません、TVを見ながらでもできますしCMの間でもできるのです。そういうトレーニングの意識付けから始めてください。買い物に行くのに車ではなく自転車を使うのでもいいでしょう。
生活の中でもトレーニングできる時間や方法はアイデア次第で見つかります。
今は足が痛くて歩きにくい状態でも自分で何とか生活はできるかもしれませんが、次の段階では日常生活で人や道具の助けが必要な状態になり、最後は寝たきりの要介護になるのです。
順を追って症状は悪化していきますので、途中で気付いて軌道修正をかけて運動や食事内容を改善することが大切です。
本人の努力だけではなく家族や友人からでもそういう心使いやアドバイスをしてあげてください。
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