「うつ気分」と「うつ病」の違いとは?心と体にあらわれる症状

年々増加しているうつ病。
誰もがかかりうる身近な病気の一つになっている一方、誤解や偏見で受診をためらう人も増えています。

うつ病にかかるのは男性よりも女性の方が1.67倍と多く、男女ともに最も多いのは40代。

うつ病は感情面や思考面、身体面にも症状があらわれる心の病気です。
気分の浮き沈みなどは多くの人が日常的に経験することでしょう。

うつ病との違いは、抑うつ状態が日常的な気分の落ち込みに比べてはるかに重く、しかも長く続くことです。

一時的ではなく、ほぼ一日中、ほとんど毎日続くといった感じです。
心と体にあらわれる症状を具体的にご説明します。

〈⒈ 〉精神的な症状とは?

 

〈1-⒈〉抑うつ感が続いて、悲観的になる

一日中、ほぼ毎日気分が深く落ち込んだり、悲しく憂うつな気分が続きます。
以前はやりがいを感じていた仕事や楽しんでいたスポーツなど、自分が好きなことをしても「楽しい」「面白い」と感じません。

むなしい気分におそわれたり、すぐに悲しくなったりするでしょう。
また、不安やあせりの感情も強くなります。

例えば、仕事で売り上げが上がらなかったり、人間関係がうまくいかないのは「自分のせいだ」と感じます。
自分を強くせめる自責の念におそわれてしまいます。

一方で、イライラ感も強まって怒りっぽくなります。
この精神状態が続くと、ついに何の感情も湧かなくなります。

「楽しい」「嬉しい」「面白い」といったプラスの感情だけでなく、「悲しい」「さびしい」「つらい」といったマイナスの感情も生じません。
感情を生み出すエネルギーが全くなくなった状態になります。

大抵、うつ病の初期症状は喜怒哀楽のうち、「哀」の感情だけになることが多いでしょう。

理由もなく涙が出て、ずっとつらい状態が続きますが、回復し始めると少しずつ楽しみや喜びを感じれるようになり、趣味などに取り組むことができます。

 

〈1-⒉〉興味や関心が低下して、意欲や行動力がなくなる

自分を取り巻く環境の全てにおいて、何の興味も関心ももてなくなります。
服装や身なりに注意を払わなくなり、着替えや洗顔、入浴でさえ面倒になります。

また、家事もしなくなります。
日常的な憂うつ感であれば、家事が面倒に感じても家の中が散らかると掃除しますが、うつ病は強い倦怠感におそわれるため、すべてのことが面倒になるのです。

そのため、達成感もなく意欲が低下して、行動力が乏しくなるでしょう。

医学的には、このような状態を「精神運動抑制」と呼びます。
意欲が低下して、行動力や決断力が著しく鈍った状態です。

周囲の人たちからは、「怠けている」「ぼんやりとしていて覇気がない」などと思われてしまいます。

 

〈1-⒊〉思考力や集中力が減退して、自殺を考えることもある

うつ病は頭がよく働かないため、思考力や集中力が低下します。
正常な思考の状態ではないため、仕事や家事などミスが多くなって、能率も下がるでしょう。

また、根拠のない被害妄想も多くなります。
「みんなが自分のことを悪く言っている」とか、「自分はみんなに避けられている」など、妄想的に考えるのです。

さらに、極端なマイナス思考にも陥りがちになります。
例えば、仕事をしたくないと思うとき、普通なら1〜2日の休みで休息して回復するでしょう。

一方、うつ病の場合は「仕事を休むと他の人に迷惑がかかるから、頑張ろう。でもやっぱり無理。自分にはできないから、ダメな人間なんだ」といった感じの悪い思考パターンになってしまうのです。

解決策がないように思えてくるなど、最悪の場合は自殺を考えることもあるでしょう。

 

〈⒉ 〉身体的な症状とは?

 

〈2-⒈〉睡眠障害

うつ病に最も多い身体的な症状が睡眠障害です。
一般に睡眠障害は3つのパターンがあります。

一つは、明け方に目が覚めて、その後眠れなくなってしまう早朝覚醒です。
二つめは、夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒。
三つめは、就寝時間になって寝床に入っても、なかなか寝つけない入眠障害です。

うつ病に特に多いのは早朝覚醒。
眠れないというつらい状態に加えて、慢性的な睡眠不足によって日常生活に支障をきたしてしまいます。

例外的ですが、一日中眠くてしょうがないといった過眠になる人もいます。

 

〈2-⒉〉消化器の働きの低下

食欲不振もよく見られます。
胃のむかつきや胸やけなどがあって食欲がわかない場合や、食べても美味しいと感じられないために食べたくない場合、食べること自体に意欲が湧かない場合もあります。

一方、空腹なのに食べたくないという場合もあるでしょう。
どちらにしても、食べる量が減ってしまい痩せていきます。

中には、甘いものなど特定のものを食べ過ぎて太るという人もいます。

 

〈2-⒊〉原因不明の体調不良

人によってさまざまですが、全身の倦怠感や大量発汗などがあらわれます。
体のあちこちが痛むこともあるでしょう。

大抵、体の病気だと思って内科を受診しますが、原因が見つかりません。
うつ病の可能性を考えて、早めに他の専門医への受診をおすすめします。

○耳鳴り
○頭が重い・頭が痛い
○めまい・立ちくらみ
○息苦しい・呼吸困難
○肩こり・背中の痛み
○口の渇き
○胸の痛み・動悸
○腰痛
○腹痛・吐き気
○便秘・下痢
○手足のしびれ
○月経異常

 

〈⒊ 〉「うつ病」と「うつ気分」の違いとは?

 

〈3-⒈〉うつ病の場合

憂うつの原因がはっきりしていないことが多いでしょう。
憂うつ度も耐え難いほど重く、日常生活に支障をきたします。

何をしていても、また良い出来事があっても落ち込んだ気分はそのままです。
1日のうち最も調子が悪いのは朝、夕方から夜にかけて良くなることが多いという気分の変化も起こります。

誰にも会いたくないし、話したくないとふさぎ込むため、人間関係もうまくいきません。

精神的な症状に伴って身体的な症状もあらわれるのがうつ病です。

 

〈3-⒉〉うつ気分の場合

憂うつの原因がはっきりしていて、その問題が解決すると気分は回復します。
憂うつの程度もそれほど重くなく、家事や仕事もなんとかこなしていけるでしょう。

憂うつな気分が2週間以上続くことはなく、楽しいことや嬉しいことがあると、気分は良くなります。

1日のうち、気分の変化もそれほどありません。
普通は夕方になると疲れがでてくるといった感じです。

憂うつさに伴う身体的な症状がないことも多いでしょう。
憂うつの原因について家族や仲の良い友人に話すことができて、気分も紛れます。

 

〈⒋ 〉「うつ病」と「自律神経失調症」の違いとは?

 

うつ病と似た症状があるため、間違えやすいのが自律神経失調症です。
頭が重かったり、よく眠れなかったりするなど、症状はさまざま。

一般に、なんとなく体調が悪いときの症状を「不定愁訴」と呼びます。
症状を改善するために、検査をしても数値に異常は見られないため、病名がはっきりせず、「自律神経失調」と診断されてしまいます。

自律神経は身体の生命活動のすべてに関わっているため、自律神経のバランスが乱れるとさまざまな症状があらわれます。

つまり、自律神経失調症とは病名ではなく「状態」を指しています。
うつ病は病名ですから、言葉のレベルが異なっていますね。

ただ、自律神経失調症の明確な診断基準はありませんし、自律神経失調症とうつ病の症状には同じものがあるため、実際はうつ病であっても自律神経失調症と誤診されることが多くなっています。

診断結果に不安がある場合、心療内科や精神科で受診することもできるでしょう。

 

〈4-⒈〉自律神経失調症とうつ病の同じ症状

○睡眠障害
○動悸・息切れ
○頭痛
○めまい
○発汗
○倦怠感・疲労感
○食欲不振
○不安感

 

〈4-⒉〉うつ病だけにあらわれやすい症状

○強い抑うつ感
○意欲・行動力の極端な低下
○妄想的な考え方
○自殺を考える

 

まとめ

うつ病は気分障害の一つです。

うつ病かもしれないと感じていても、「抱えている問題は一人で解決できる」「自力で問題に対処したい」という思いが強く、受診をためらっている人が多くいます。

「治療に時間がかかるし、効果があるとは思えない」「ほかの人に知られたら嫌だ」と思う人もいます。

うつ病の初期症状はまだエネルギーが少し残っているため、まじめな人ほど無理をしてしまいます。
頑張りすぎるとうつ病を悪化させてしまい悪循環に。

うつ病は脳の機能に障害が起きて発症します。
大きなストレスが脳内に変化を起こしてうつ病の原因になることもあります。

初期にあらわれる兆候に、熱や痛みなどの症状はでないため、見逃してしまうことが多いでしょう。
先に内科を受診して治療が遅れるといったケースもあります。

発見が早ければ早いほど治りも早い病気ですから、できるだけ早く専門医での受診をおすすめします。

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